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日記だったり、ネタだったり、備忘録だったり。 若鶏のからあげ先生が日常をユーモラスに描きます。
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若鶏のからあげ、22歳

友達の藤木君に誘われ、
毎週土曜日の朝に公民館で開催する
麻雀教室の先生として
生徒に麻雀を教えることになった。

生徒はもう会社を定年退職した
60~80歳のおじいちゃん、おばあちゃんがほとんど。

役もわからないし、手が震えてるし
牌を持ってきて捨てるまで2、30秒かかるし
1半荘に2回はチョンボが出る。

かと言ってそんな歳の人に教えて直るわけは無いので
ほんと、牌を触ってもらうボランティアのような感覚で
指導していた。


そんなある日、
麻雀教室に一人の熟女マダムが入会してきた。

そのマダムは、
麻雀は全くわからないが、
主人がいつも楽しそうに麻雀をしているのを見て
私もやってみたい!と思って入会したそうだ。

ご主人のために麻雀を覚えたいなんて、
何てご主人想いの素敵な人なんだと感動した。


そうだよ、思い出したよ。
麻雀を始めたあの頃を。


麻雀っていうのはコミニュケーションなんだ!
麻雀をお金を刈り取る理由にしてはいけないんだ!


よし。


デヴィ夫人にそっくりなそのマダムに
本当に麻雀を教えてあげたい。


そう思った僕は、麻雀初心者用テキストを渡し、
毎週毎週デヴィ夫人に
マンツーマンで指導を始めた。

3回程、授業をしたころ
デヴィ夫人から、

「先日、主人と麻雀をしてみたんですが、
 まだまだだと言われてしまったので
 実践形式での練習がしたいです。」

と申し出があった。


それならばと、
お手伝いで参加している友達の北室君に
指導対局を準備してもらった。


デヴィ夫人と北室君と教室のおばあちゃん二人で
対局が始まる。


デヴィ夫人の様子を後ろから見ていたが、
手つきもおぼつかないが、一生懸命頑張っていた。


僕が後ろからあれこれ言うのもデヴィ夫人の成長を
妨げると思い、

「何かわからないことがあったら聞いてください」

といい、離れた椅子に座って、様子を見守っていた。



教室にはいろいろな麻雀のテキストがあり、
その一つを読みながら、次はこれを教えよう、
あれも教えなきゃと思っていると


デヴィ夫人の声が聞こえた。









「チー!」




お、積極的に頑張ってるな、と思い、

本を伏せ、卓の方に視線をやる。



すると北室君が






「あ、あ、あ!」




と口をパクパクさせながら、


デヴィ夫人が晒している牌を指さしている。





何が起きたのか、卓に確認しに行く。











六索六索九索 











カオス!



北室君はこの晒された牌の
何から突っ込めばよいかわからずに、
パニックに陥っていた。



しかも、その間、同卓したおばあちゃん二人は
この違和感に全く気づかず、
打牌が完了。


デヴィ夫人はアガリ放棄に。


今まで教えていたのは何だったんだ!
心底落ち込んだ僕は何がいけなかったのだろうと
デヴィ夫人の持っていた麻雀初心者用のテキストを
パラパラと眺めてみた。


そこにはこう書かれていた。


和了った時、
ロンの場合・・・その人からお祝い
ツモの場合・・・みんなからお祝い



うーん、このテキストがおかしい気がする。






まとめ

麻雀をお金を刈り取る理由にしてはいけないよ、千石君。









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高校3年のころ、
柔道部に所属していた僕は
毎日毎日厳しい練習を行っていた。

試合に勝つためではない。

そんなのは二の次だ。

先生に怒られないようにするための練習だ。

顧問の先生は、木村祐一にそっくりで、
見た目、態度、言動
どれをとっても立派なヤクザです。


まずは準備運動、基礎練習をして
打ち込みという技を掛ける練習を終える。
そして乱取りという実戦形式で練習しているときに
柔道場のドアがガラガラガラガラと大きな音を立てて開く。

木村祐一の入場である。

このとき、木村祐一が柔道着を着ていると
ボーナス確定。

乱取りに参加しバッタバッタとなぎ倒し
僕たちはメシが喉を通らない程の疲労に襲われる。


柔道着を着ていなくても安心はできない。
ジャージ姿でも潜伏している可能性がある。

気が付かないうちに乱取り用のタイマーを触り、
3分の8本休憩1分→4分の10本休憩30秒とかになっている。

この時もかなりきつかった。



大会1ヶ月前くらいになると
他県の高校と合同練習が組まれることになっていた。

木村祐一が合同練習の相手として呼んできたのは
隣の県の国体強化選手がいる○○高校
県2位の実力だ。

それを聞いたうちの柔道部最強の部長が
1年生の野中君に

「なんで国体強化選手とか連れてくるんだよ!」

と八つ当たりしていた。


合同練習が始まった。
いつもの練習を始める。
すると○○高校の連中がついてこれない。

向こうの国体強化選手とうちの部長だと
うちの部長のほうが強い。


確かに僕達の県は柔道のレベルがかなり高い県だが、
まさか、ここまで張りあうとは。

木村祐一はここまで考えていたのか。
僕たちは隣の県NO2の高校をばったばったとなぎ倒し

甲羅を脱いだ悟空のような気持ちで乱取りをしていた。


ところが相手の高校は面白く無い。
無名の高校にベコベコにされるのが気に入らないようだ。


だんだんとうちの1年の野中君がターゲットになっていく。

そして、相手の高校の一人が野中君と対戦。


野中君の背負投げを返すときに、肩を強く極めた。








野中君の




「ああああああああああ」




という叫び声が聞こえた。


みんな練習をやめ、野中君の方をみる。

すぐに木村祐一が肩を抑えて倒れている野中君に駆け寄る。





「肩か?」

「・・・はい。」

「どうなった?」

「背負いをした時に肩が後ろに曲がりました。」


「どうや?できそうか?」


「痛いです!」








「・・・できるのか、できないのか、どっちだ?」











「痛いです!」











「てめぇ!ふざけんな!」







バキッ!








痛みに震えている野中君の顔面に

木村祐一の拳がクリーンヒット。




どうやら
できるのか、できないのか?という二択に対し
痛いです、という選択外の答えを出したことに
腹がたったらしい。

















「できます!」









野中君は殴られるとすぐに元気よくそう答え、
再び乱取りに参加。





次の日、病院に行った野中君は
肩の靭帯断裂で全治3ヶ月。




その次の日、木村祐一に報告に行った野中君は
なんで痛いならすぐに病院に行かなかったんだと
めちゃくちゃ殴られたらしい。






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若鶏のからあげ大学1年の冬。

冬休みに実家に帰って来た。

半年ぶりに中学の時の同級生、林君と菊池君と3人で
遊ぶためにあつまった。

前回遊んだ時のトラウマから
ジョイフルに行くのだけは禁止というルールで
どこに行くか考えてドライブしていたら、

林君が最近カラオケにハマっているという話になり、
それならばとみんなでカラオケに行くことになった。

となり町のカラオケ店に到着。
運転していた林君が

「車止めてくるから、先に受付しといて!」
と僕と菊池君を車から下ろした。



「よーし、俺イエモン歌っちゃうぞ!」


なんて言いながら僕と菊池君はカラオケ店の入り口に向かい
自動ドアを開いた。





ウィーン。





すると、奥からからヨレヨレのトレーナーを着たおっさんが
よろよろと歩いてきた。




酔っ払いかな?





そう思ってよく見る。





戦慄が走った。





おっさんは頭から大量出血しながら歩いていたのだ。





グレート・ムタに額を割られた対戦相手くらいの出血を確認。
明らかに事件の臭いがプンプンする。




「関わったらいけない!」




即座にそう判断し、おっさんをスッと避け、
呆然とそのおっさんを眺めている菊池君も無視し、受付に向かう。


早く、受付を済ませて、部屋に入らなければ。




するとカラオケ店受付に設置してあるスロットのゲーム機で遊んでいた

襟足の長い小学生が、そのおっさんを目撃したらしく、




「うわぁ!おじさん?


 血が出てるよ?




 血が出てるよ?」




とギャーギャー騒ぎ出した。



その様子を見た店員が受付カウンターの手前で
血だらけのおっさんのところに行こうか、
僕達の受付をしようか、まごついていたので、


「ごめん!こっち早くして!」



と催促した。


店員は血だらけのおっさんをチラチラ見ながらも、
入店手続きを進める。


早く!
何か変なのに巻き込まれる前に早く手続きをしてくれ!



すると、うしろの自動ドアがウィーンと開いた。


林君かな?と思い振り向く。




谷村新司のようなヒゲを生やした、
オールバックのテカテカのスーツを着た
いかにもその筋の人が入ってきた。



これはヤバイ。




しかもその人の目が、完全にイってる。

たのむ、早く手続きを済ませてくれ!




オールバックがこっちに歩いてくる。






そのオールバックを見た襟足の長い小学生が












「お父さん!」








と叫ぶ。




この小学生はオールバックの子供か!


さらに小学生が叫ぶ。





「お父さん!この人、血が出てるよ!」





するとオールバックが、血だらけの人を見て





「オイ、お前まだおったんかい?」





と言いながら、血だらけの人を更にボッコボコに殴り始めた。




お前が犯人かい!



と心のなかでつっこむ。
が、目を合わせたらやられるので受付を眺めていた。

音だけ聞こえる。




ボコ!ゴスッ!


うっ!


お父さん血が出てるよ?


ボコッ!ペッ!



手続きが終わったので、店員に部屋に案内される。




案内された部屋で
テンションガタ落ちの二人は一言も話さず、
その後テンションが回復することはなかった。


みなさんもカラオケに行くときは注意しましょう。

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若鶏のからあげ、32歳。
大学時代に所属していたサークルがOB会を開催するとの連絡があった。

久しぶりにOBのメンバーに会いたいと思ったが、
大学は山陰。
僕の住んでるところから車で7時間かかる。
また交通の便が悪く、JRも飛行機も結構お金がかかる。

メリットとデメリットを考えた。

車・・・高速代とガソリン代。
    7時間運転はできるが、眠くなった時が恐ろしい。
JR・・・8時間かかる、お高め。
飛行機・・・早い。高い。

うーん、なんかどれもイケてない。

なにかいい方法はないか本気出して考えてみた。




ポクポクポクポクポク


















チーン!

 


閃いた!


車ならあと一人連れて行けば、交通費を折半できる!(ゲス)


ということで、会社の後輩である千石君に
若鶏のからあげと行く山陰ぶらり旅という企画をプレゼンし、
快くOKを頂き、行けることになった。

千石君は僕の車の保険の関係上運転が出来ないので
道中は全て僕が運転。

仕事が終わってから出発する1泊3日のスケジュールだ。

そこで7時間ぶっ続けで運転は危険なので、
高速でちょこちょこと仮眠を取りながらの余裕を持ったスケジュールを立てた。



いよいよ出発の日。

千石君を迎えに行き、高速に乗る。
最初、3時間くらいは頑張って進む。
車の中でのおしゃべりも弾み、
本当に千石くんを連れてきてよかったと思った。


最初の休憩ポイントは下関にした。

ここで千石君が、ふぐの看板を見つける。

「若鶏さんふぐ食べて行きましょうよ!」

「いいねー!食べよう!」

二人、ふぐの天婦羅とおにぎりを食べる。


休憩もそこそこにすぐに出発した。


広島に入った当たりから、猛烈に眠くなる。

それもそうだ。


現在深夜3時。


普通に朝9時から仕事して、8時くらいに終わって、
そこから少し仮眠して11時に出発している。

で、ご飯を食べたし眠くなるのは当然だ。


とりあえず、仮眠をとるために
パーキングに入る。


「千石君、ちょっと仮眠をとるよ。」

「はーい。」


二人とも、寝る体制になる。


すると1分後、




「ぐおおおおおお、ぐおおおおおお」

ととんでもない音が聞こえ始めた。





工事?





と思ったが違う。



これはヤバイ。
これはとんでもないいびきだ。
ぐおおおおという度、車の窓が震える。
共鳴だ。


すさまじいいびきのなか
全く寝ることが出来ず、30分。


逆に目が覚め、千石を起こす。



「時間だよ!」



やさしく起こす。

千石君がいなければ僕は出発すらしてないんだ。
千石君は僕のOB会に行きたい思いを
お金という形で具現化してくれた神様なのだ。

こんないびきぐらいで、怒ってはいけない。




出発する。

が、またすぐに眠気が襲ってくる。


千石君も、
「大丈夫っすか、休憩したほうがいいっすよ」

と声をかけてくれる。



「そうだな。」


と、次のパーキングでまた休憩することにした。






「じゃ、次は1時間後で」



と僕が言った途端、スッと寝始める千石君。

1分後にはぐごごごがごがおごといびきが始まる。









30分耐えて、千石君を起こす。







「あ、もう行きます?休憩大丈夫っすか?」





千石君に心配される。
君のせいなんだよ?という言葉をぐっと飲み込む。

1時間も耐えられない。




僕の立てた休憩しながら進むスケジュールは
この時点で不可能となる。

こうなったらノンストップで山陰まで進み、
どこかで仮眠をとるしかない。



時計は朝5時になっていた。


運転していると、だんだん夜が開けてきた。

目が痛い。

体がずっと寝ろというサインを出し続けてる。




もう限界だ。




限界ということは、いびきとか関係なく寝れるはず。

そう、最後の期待を胸に、車を止めて、

「じゃ、ちょっと休憩」

と目をつぶる。




ぐごごごごごごご




絶対に無理。
寝れない。
こんなに疲れてても寝れない。


千石君の肩を叩く。



「ん?」



と千石君が起きる。







「千石君、本当に申し訳ないけど、

 ちょっと外で寝てほしいんだけど!」








「ええええええ?」







「実はいびきがうるさくて寝てないんだよ。」






「えええええええ?」








「ごめんね。命に関わるんで。」







「・・・・分かりました。」









千石、先輩に金を払って、
知らない土地で野宿させられる。








2時間後、ちゃんと復活した僕は、無事に山陰に辿りつけ、
OB会にも出席できました。


やっぱり持つべきものは友達ですね。


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みなさんはあの地獄の苦しみを知っていますか?
牡蠣に当たった時の地獄の苦しみを。

昔はお腹の風邪とか言われていましたが、
最近はノロウイルスに感染というようです。
(ノロウイルスも正式名称ではないようですが・・・)

このノロウイルスに感染した時の症状がものすごくて
上から下から、垂れ流し状態になります。

またこのウイルスがなかなか死なない。

石鹸やアルコールでは死なず
乾燥にも強い。

次亜塩素酸ナトリウムというハイターの成分でやっと死ぬ。

そんな強い感染力を誇るため、

感染した人が絨毯に吐く
→綺麗に拭き取る。
→少しだけ残ったゲロが乾燥
→上から人が踏む。
→乾燥したゲロが舞う
→近くを通った人が感染

というテロみたいな感染を引き起こす。


で、数年前、
うちの会社ではこんなことが起きないよう、
社員全員に定期的に検便を義務付けた。


最近の検便は簡単で、
リップクリームの容器みたいなのを開けると
綿棒の先のようなプラスチックの棒があるので、
その棒を出した物に挿すだけというシンプルな作業になっている。

昔は、新聞紙の上に出したやつを割り箸で摘んで
コンタクトレンズの容器みたいなやつにきゅっと詰めていたんで、
それに比べれば楽な方なんですが、

それでも検便を出さない奴がいる。


僕の後輩の千石君も、わざとなのか、うっかりなのか
期限が近くなって名指しで言われないと検便を出さない。


可愛い後輩が怒られるのは偲びないので、
検便の度に、僕は

「千石、検便は出したか?」

と聞くのが定番になっていた。



「検便を出したか?」

と言い続けて1年。

千石が、僕の目を真っ直ぐに見て言い放った。


「若鶏さん、検便出しましたよ。」


「うおっ!マジか、おめでとう。

 ようやく一人で検便が出せるようになったな!」


と褒めた。


「いやー、若鶏さん、大変だったんですよ。」

「何が?」


「家で珍しく検便のことを思い出して、

 トイレに行こうとしたんですよ。」


「おう。」


「そしたら、妹の友達が遊びに来てたんで、

 恥ずかしくてなかなか入れないんですよ。」


「おう。」


「で、やっとの思いでトイレに入って、検便するじゃないですか。」


「おう。」



「絶対に忘れないように、

 みんなの目につくリビングのテーブルの上に

 置いておいたんですよ。」



「おう。ちょっと汚いけどな。」



「で、普段そこに置いたりしないんで、

 会社に来てから忘れたことに気がついたんですよ。」



「最悪だな。」



「で、仕事終わって、家に帰ったら

 検便が無いんですよ。」


「おう。」



「捨てられてると思ってゴミ箱とか探すじゃないですか。」


「そうだね。」








「そしたら母親が来て、検便ならここに入ってるよって













 冷蔵庫の卵ポケットから検便出してくるんすよ。

 


 やばくないですか?」







若鶏のからあげ、男子ロッカーで呼吸困難に陥る。











ちなみに、冷蔵庫に入れるは正しい保存方法の模様。


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若鶏のからあげ、大学1年の夏休み。

県外の大学から久しぶりに実家に帰って
中学校からの同級生林君と菊池君と遊んでいた。

ゲーセンに遊びに行った後、
どこかで食事をするのがお決まりのパターンだった。

その日もゲーセンで遊んだ後、
どこかで食事をしようということで
ジョイフルというファミレスに行くことになった。

店に入って店員に席まで案内される。

注文を済ませ、今日のゲーセンでの成果を3人で話していると、
後ろのテーブルに座っているおじさんグループの一人の携帯が鳴った。

おじさんが携帯に出る。

















「もしもし?かあちゃん?」










この時点で、林君が吹いた。













「うん、うん、今ね?」











続けて菊池君も少し笑う。













「今、ジョイプルにおる。」












ここで3人とも吹く。





ジョイプルって何よ。ジョイプルって。



するとおじさんが








「今、笑ったろ?」






と僕達に絡んできた。

いや、笑うやろ。と思ったが、
見た目そんなつっこみが通用するような人じゃない。

ヤバイ人達だ。
かかわったらだめだ。


すると林君が、



「いや、ジョイプルがおかしかったんで」

と普通につっこみ始めた。



「俺達を舐めてんの?」



案の定おじさんが絡んできた。
最悪だ。


僕は大事になってはいけないと思い、
林君を制止し、手を引いて店を出た。









3人で林君の車に乗り込む。




「若鶏!なんで止める!」


林君が叫ぶ。


「いや、あきらかにヤバイ奴だっただろ」



「俺、ああいう奴が一番キライ!
 うおおおおおおおおおおおおおお」




そういうと、林くんはアクセルを全開にして
ジョイフルの駐車場をすごいスピードで回り始めた。





これヤバイ奴や!





今まで感じたことのない横Gを受けながら僕と菊池君は

林君を怒らせることだけはやめようと心に決めた。





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若鶏のからあげ、高校1年。

尊敬するプロレスラー武藤敬司が過去、
柔道の選手だったことに触発され、
柔道部に入部。

高校から初めて運動部に入ったため、
先輩=神様という常識がわかっておらず、
最初のうちは逆らっては殴られたりしていた。

6月の試合で3年生が引退。

10月には個人戦73kg級で大会に初出場することになった。





78kgもあるのに。




どうも顧問の先生は練習中の僕があまりにも簡単に投げられているのを見て
体重が無いのだろうと錯覚しているようだ。

というわけで試合まで2ヶ月で5kgの減量をしなければいけない。



お弁当のサイズを一回り小さくし、
減量に取り組む。


頑張っているのだが
なかなか減らない。


原因は、ばあちゃんだ。


僕が1杯目のご飯を空にすると、

「若鶏、おかわりは?」

と聞かれる。


「今、減量中だから食べられない」

と言うと

「あんたどっかで食べてきたね?」

と始まる。

延々と疑われるのが面倒なので、

「じゃあ一口、お願いします」

と茶碗を渡すと、山盛りで返ってくる。

「こんなにいらない」

と言うと

「ご飯かすったから、全部食べて」

言われる。


というわけで家の余りご飯を食べ続けていたため、

ほぼ練習だけダイエットで

試合1週間前にようやく72kgに仕上がった。


ギリギリである。




試合当日の集合時間は8時。

遠くから電車で通学している、僕と上村君の2人には厳しい時間なので
会場近くに住む、斉藤君の家に前日から泊まることになった。

ちなみに、僕と上村君と斉藤君はみんな同級生
みんな今回の大会が高校での新人戦だ。

斉藤君のお父さんは中学校で柔道を教えている柔道の先生なので
息子の高校デビューにかなり力が入っており、ビデオまで準備していた。

夕食の時間になって斎藤君のお父さんから、

「明日みんなが勝てるように今日は精のつくものを食べに行くぞ!」

と言われ、うなぎ屋さんに連れていってもらった。


みんなでうな重を食べる。
めちゃくちゃ美味しく、みんなご飯をおかわりした。

ご飯を食べながら
斉藤君のお父さんから明日の戦略についていろいろとアドバイスがあった。

ネイティブな方言でほとんど聞き取れなかったが、
とにかく1試合目から気合を入れていけということらしい。

家に戻ると、僕達3人は同級生のお泊り会な感じで、
斉藤君の部屋でマンガを読んだり、恋話をしたりしながら
くつろいで就寝した。


試合当日、斉藤君のお父さんの送迎で会場に到着。

まずは計量だ。



73kg級の列に並ぶ。

いよいよ計量。

体重計に乗る。

通常の体重計には無い、
輪っかのような装置の中に、針があり、
その針が装置の上にカターンと当たる。

















「はーい、体重オーバー!」














審査員から告げられる。



やばい。





計量締め切りまであと30分ある。

とりあえず、トイレに行く。






でない。



いつもとんでもないタイミングで
要求する僕のお腹も、今日はなぜか、まったく出す気配がない。


とにかく会場の周りを走る。


10月の少し肌寒い気候で汗が全く出ない。


2回目の計量に行くも体重オーバー。



まず、顧問の先生に謝りに行く。

「すいません!体重オーバーで失格になりました。」


「そうか、仕方ない、今日はみんなを見て見学しとくように」


「わかりました。」



部長のところに行く


「すみません!体重オーバーで失格になりました。」


「おう、知ってる。お前のせいで先生から殴られたじゃねーか!」



といわれ、いきなり殴られる。



「すみませんでした。」


部長に殴られ涙目になりながらあやまる。

なんとか許してもらう。



「荷物番しとけ!」


と指示があり、会場の隅でみんなの荷物番をしていると、



客席から僕を呼ぶ声がする。






親父だ。






「若鶏ー!若鶏ー!応援に来たぞー!」





最悪である。



僕を見つけた親父が、会場まで降りてくる。



「こんなところで何をしている?」


「いや、体重オーバーで試合に出れない。」



横から斉藤君の親父が出てくる。


「若鶏くんのお父さんすいません!僕がうなぎを食べさせてしまって、

 そんなギリギリだと思わずに。おかわりもしてたから。」




親父の顔が鬼の形相に変わる









「お前何でおかわりなんかするんだ!」









親父に思いっきり殴られる。






その後、うな重おかわり事件として、柔道部に語り継がれた。



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高校3年生と大学生の間の時期に、
家の向かいの旅館の屋上に大きなアンテナがたった。

旅館に出入りしている工事の人の乗ってくる
営業車にはJ-PHONEと書かれていた。

それを見た親父が、

「よし、若鶏、お前の入学祝いは
 J-PHONEの携帯だ!
 家にいるときは絶対電波が届くからな、がはは」

 (当時、電波は届かないのが普通)

出たばっかりの最新機種、初のカラー液晶の
携帯を買ってもらった。


大学で他県へ出た若鶏。
下宿先で電波全くつながらず

メールしたり、電話したりするときは
電波のよく入る友達のうちにいって
電話をしていた。


ある日、その友達の家で遊んでいると
1通のメールが来た。






若鶏へ、




父さんもメールを始めてみました。




大学生活楽しいですか?




勉強頑張っていますか?




父さんもゴルフを頑張っています。




今年はシングルになれそうです。




父さんの頑張っている写真を送ります。










というタイガー・ウッズの写真を送りつけてきたので



吹き出しながらも負けられない気持ちになり



こちらも


「ずいぶんと日焼けをされ、お元気そうで何よりです。」


と返信をすると、



「バカなことを言ってないで、勉強をしなさい」


と返信してきた。



息子が一回乗ってあげて
さあ今から激しくノリツッコミをしようとしたところを
殺しにくる親父。



未だに親父の性格だけはわかりません。






拍手[0回]

数年前、仕事中に実家の親父から電話がかかってきた。


「おーい、若鶏、お父さんです。今大丈夫?」

「大丈夫だけど、どうした?」

「オートロックが開かなくなった。」

「マジで?鍵は?」

「鍵?鍵は無いよ」

「それは困ったね。車?」

「車じゃない。」

「家?」

「いや、パソコン。」

「パソコンが開かないの?」

「パソコンのメールが開かないの。」

「オートロックなんてあったっけ?」





「違う違う。オ・ウ・ト・ロ・ッ・ク。」




「あー!アウトルックね。」




どうも昔のメールアドレスが引っかかって先に進めなかったみたいだ。

古いメールアドレスの削除をやってもらい解決。



その後親父は無事にニコニコ動画を見るための手続きが済み、

将棋棋士VSコンピュータのニコニコ生放送に間に合ったと連絡があった。




この歳(64)になっても
人にいろいろ聞きながら新しいことを始める姿勢に感心した。



親父には負けてられないな!




僕も新しいことにチャレンジしよう!





そう思った僕は最近ロト7を始めました。








拍手[0回]

アパートの一室。

前の半荘で2位になった僕は抜け番になり
部屋の隅でマンガを読んでいた。

「ポン!」

「ポン!」

「チー!」

「うわ!これはヤバイ!」

何やら盛り上がってる声が聞こえるので
マンガを読むのをやめ、卓に目をやる。

後輩が3つ鳴いて、索子のチンイツ気配。

同卓しているみんなは、

「ヤバイ」
「これは切れない」

と漏らしている。

僕はちょうどその後輩の真後ろにいたので
ちらっと手牌を覗いてみる。


八索八索八索

八索が3枚。


あれっ?
おかしいですね?

もう一度覗いてみる。


八索八索八索


残り3枚しかない。






いやいや、お前少牌してるぞ!




っと言いかけた時、
後輩が4枚めの八索をツモってきた。








「カンッ!」





ええーっ!


後輩が八索を暗槓し、右に晒し、

リンシャンから九萬をツモってくる。





ターン!




強打で九萬をツモ切る。



その瞬間、



手牌が・・・

手牌が消えたーーっ!




「オイ!お前、手牌が消えたぞ!」

「いつから少牌してたの?」

同卓者も爆笑。



手牌がなくなった後輩は、
リーチを掛けたかのように、ずっと打牌強打でツモ切りを続ける。




数順後、無事に流局する。









後輩「テンパイ」








いやいやテンパイとか普通にいってんじゃねーよ!
と思ったが


同卓者の裁定によると
「とても面白かったから」という理由で
後輩のテンパイは認められた。



拍手[3回]

これから先の旅も、

いままで以上に長く苦しい物になるだろう。

でもきみなら大丈夫だ。

正しいものと正しくないものとがいて、

それが戦ったとして、

正しいものが負けるときみは思うかね。


けっして失ってはならないもの、

それは勇気だ。

勇気は、最後の勝利を信じることから生まれる。




土曜の午後、昼までの授業を終え、

小学6年生の僕は一人、家にいた。

弟はもう友達と遊びに出かけていた。




権藤、権藤、雨、権藤

そのころ僕は家族の隙を見てはトイレに登板し、

自主トレに励んでいた。


シコシコではない。

シコシコと音がするのは普通のやり方だ。

僕の発見した、

竹とんぼを飛ばすようにする火起こしスタイルだと

キュッキュッとバッシュのような音がする。



そして登板過多による慢性的な根本の怪我。

棒の根本にかさぶたができているが、キュキュットする度に

かさぶたが剥げ、血がにじみ出てくる。


僕は痛みに耐えながら、壮絶な自主トレを敢行していた。




それにしても今日は、家自体に誰もいない。

こんな事は初めてだった。



今日は、誰にも見つかることなく、

自分の部屋で思いっきり出来る。


初めてのメジャーリーグに

僕は痛みも忘れて、勢い良く半ズボンを足首まで下ろした。



火起こしスタイルでは両手を使うため、

おかずを見ながらすることが難しい。

トイレではおかずを持ち込む事はできても

フィニッシュの瞬間はおかずをトイレットペーパーの上に置き、

目をつぶっている。


しかし、今日は自分の部屋だ。


自分の学習机の引き出しを開け、

らんま1/2のエロいページをセットし、

引き出しを膝で抑えれば、簡易ブックスタンドの完成だ。



キュッキュッキュ!


ハエが手を合わせるように、一心不乱に種火を起こす。





「うおおおおお、シャンプゥゥゥ!」





初めておかずを見ながらのフィニッシュを迎える。







ドクンッ!






体の中で何かが爆ぜた。その瞬間――




僕のドモホルンリンクルが

一滴、また一滴と大切に抽出されてきた。



初めての射精。

その「初精」である。










苦い。










そう思った瞬間、

ミシっと、2階の部屋へ続く階段を誰かが登ってくる音が聞こえた。




誰?




ミシっ。




誰かが、のぼって来ている!




ミシっ。




あわてて、引き出しを閉じ、らんま1/2が引っかかる。




ミシっ。




らんま1/2を閉じる。何か、忘れてないか。




ミシっ。




そうだズボンを、




ミシっ。




上げなければ。







「お前何してんの?」







親父だ。

ズボンは、膝までしか上がっていなかった。

丸出しの中腰状態、まさに丸腰で親父と相対する。



「いや・・・・その・・・・・」




僕は見つかった衝撃で、何と言えばいいか、

どう言い訳しようか、どうしよう、どうしよう。





「お前、そんなもん出して

 何してんの?」





何故かキレている親父。

言わなくちゃ、

何か言わなくちゃ。

何で出してるか言わなくっちゃ。

あわあわとなりながら、声を絞り出す。










「お、お、お、おしっこー!!」










おしっこなわけあるかい。部屋でおしっこなんてするかい。

言ってすぐ、自分で心のなかでツッコむ。



親父は、「ふーん」というと、自分の部屋に消えていった。




見られてはいないが、この自分の受け答えの恥ずかしさに

どうやって死のうか考えていると、

親父の部屋から大声で呼ばれた。





親父の前に正座をする。





「若鶏、勉強もしなさい。」





「も」ってなんだよ!

何を含んだ「も」なんだよ!


その時に感じた、絶望。

今ならサトラレの気持ちが分かる。

これからこの十字架を背負って僕は生きるんだ。



冒頭の詩には続きがある。


けっして失ってはいけないもの。
それは勇気だ。
勇気は最後の勝利を信じることから生まれる。

苦しいこともつらいことも、
まだまだたくさんあるだろうが
そんなことを楽しむくらいの
ユーモアも持っているのがきみたちだ。



僕は勇気を持ってこの一連の話を告白することとする。






そして伝説がはじまった。






関連記事(ロト3部作)
勇者よ、目覚めなさい
勇者の挑戦
そして伝説へ



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この世の中には

まだまだ自分の知らない不思議なことがたくさんある。



どうして、空は青いの?

どうして、夕日は赤いの?

どうして、お昼なのに月が見えるときがあるの?

どうして、お父さんにもおっぱいがあるの?



大人に対し、そんな質問をぶつけても誰も答えてはくれなかった。

いつか、自分の力で、この世界の不思議を解明したい。

そのためには一生懸命勉強して、科学者になるんだ。



そんな若鶏少年は、

昨夜、またひとつ、新しい不思議を手にした。




どうして、皮の先っぽを人差し指と中指でつまんで

枝豆を剥くみたいにプリップリッとすると気持よくなるの?




そうだ、知ってるさ。

大人は答えちゃくれない。

だから僕はこの不思議を自力で解明し、

全ての大人達に宣戦布告する。




こうして、若鶏少年の挑戦が始まった。

学校から帰るとすぐにトイレに行き、枝豆スタイルでつまみ始める。



ただ、この枝豆スタイル、フィニッシュまで異様に時間がかかる。

また、指の疲れも半端ない。

次の日えんぴつを持つと違和感があるくらい痛くなる。



そこで、何回かつまむ場所を替えて実験した結果、

どうも先っぽだけに刺激を与えれば、

すぐに気持ちよくなることがわかった。



もっといい方法はないだろうか。

そう思いながら過ごしていると、

ふとテレビCMからこんな声が聞こえてきた。




「お手手のシワとシワを合わせてシアワセ」




このCMにピンと来た僕は、すぐにトイレに行った。

若鶏本体を両手で包み、拝むように、祈るように、

竹とんぼを飛ばすように、ゆっくりと動かしはじめた。



そうだ、

だんだんと潜在記憶が呼び起こされる。

46億年の長い地球の歴史の中で、

人類が初めて種火を起こした形。

その形とまったく同じではないか。

ふっと頭にモノリスが浮かんだような気がした。



その刹那、

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

ワイルドセブン七原秋也ばりの咆哮をあげる。

火起こしスタイルの開眼である。



ある日のこと、いつもの様にトイレに入っていたら、

突然チクチクとした痛みがあり、根本から少し血が出てしまった。

あまりにも回転が早かったのか、ねじ切れたようだ。



このままいったら、

本当に竹とんぼみたいに取れて飛んでいってしまう。




どうして、現場に血が流れるの?



また、ミステリーハンター若鶏少年に新しい不思議が沸き起こる。

怪我が治るまで、火起こしは封印することにした。




それではまた来週も不思議の世界でお会いしましょう。

世界不思議発見!




関連記事(ロト3部作)
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そして伝説へ



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■■注意■■
この話は、前回の続きです。
先に前回を読まれる場合は下記リンクからどうぞ。
ザナルカンドにて1





前回までのあらすじ
片玉が、3倍になり、病院へ。





診察室に呼ばれる。


牧瀬里穂ではなく、おじいちゃん先生が出てきた。


「じゃ、ちょっとエコーとるから、

 下半身出してタオルで隠しといて。」

「はい。」


下半身を出して、タオルを乗せる。




どっちかなあ。

鞘から出しといたほうがいいのかなあ。



その気になれば人指し指と中指でへその方にシュッと

神速で抜刀できる飛天御剣流奥義

「天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)」

という技が使えるでござるが、

この技はいささか疲れるでござるよ。



なんて考えていると、

おじいちゃん先生が、ヒラリとタオルをめくり、

玉にローションを塗り始めた。

「おろ!?」

僕の剣心が驚いた。



エコーが始まる。


「これ、わかります?」

とモニターを指さす。


オレンジの影が放射状に映し出されている。


「これが、右と左違うでしょ。」

確かに右の玉のエコーだと、影が小さい。


「これは血管が逆流してるね。」




診察の結果、



病名:精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)



血管の弁が壊れて、血が逆流しているとのこと。



それと、進行性の病気だということ。



玉は熱で生殖能力がやられる。

血液が玉の周りに集まっているため、

このままでは、だんだんと、

そして確実に生殖能力がなくなっていくそうだ。



では、今の時点で、能力があるのか、無いのか。



それは検査をしてみないとわからない。



「若鶏さんの場合は、まだ結婚して半年ということですが

 心配なら検査をされますか?」


「そうですね、検査をします。」


「では、あとでお呼びしますので、出られてお待ちください。」



どうしよう。

とんでもないことになった。


検査ってことは、出すということだろ?

出すってことは、おかずがいるってことだろ。

果たしてここには僕の気に入るおかずがあるのだろうか。

もしよければちょっと○○書店に寄らせてほしいのだが。



そのシモの問題と、あとは嫁に何て言うかだ。



子供が大好きな嫁だ。


僕には君との未来が見えるんだ。その未来を信じてほしいんだ。

もし君にも同じ未来が見えるのなら、今、僕の手を握ってくれますか?

そう誓って結婚した。


その未来には僕達の子供がいて、

僕達の生きた命の記憶を永久に伝えてくれる。

そう思っていた。


もし最悪の状況だった時、果たして嫁は僕を受け入れてくれるだろうか。




牧瀬里穂に別室に呼ばれる。

「若鶏さん、これに採取してきてください。」

牧瀬里穂はシャーレを手渡してきた。

シャーレなんてみるのは中学生以来久しぶりだった。


よかった。

銀色のトレイみたいなのだったらどうしようかと思っていた。


「で、どこで採取すればいいでしょう。」

「あ、今日じゃなくて結構です。家でも結構です。

 但し、採取して30分以内に持ってきてください。

 それと、採取した時間をこの紙に記入してください。」

「わかりました。」


要約すると、

出して30分以内のフレッシュなやつを持ってくればOK

ということか。


これでおかずの問題は解決。

新しい問題が、「出して30分以内。」


病院まで車で20分かかる。

出したらすぐに運転して、向かわなければならない。

これは、なんとかなるかな。



痛み止めをもらい、会社に戻り、

2日後に休みを入れてもらった。


家に帰り、夕食の支度をしてる嫁の手を止めさせ、

座らせた。




「今日病院に行ってきました。そこで病気が分かりました。」

「それって、聞いたほうがいい?」

「最後になるかもしれないだろ、だから全部話しておきたいんだ。」

そう言って僕は今日起きた全てを話した。

嫁は泣いていた。

「その日私も休みだけど、一緒にはいかない、からあげ一人で行って。」

「わかった、検査が終わったら話そう。」


若鶏家の未来に暗雲が立ち込めた。





検査当日。

病院は10時から。

9時55分に準備を始めた。



PCを立ち上げ、ブラウザの

お気に入り⇒仕事⇒仕事デザイン関係⇒新しいフォルダ(2)

の中にある、本当のお気に入りサイトにアクセス。


左手にシャーレをスタンバイ。


ズボンを降ろそうとしたところで、

嫁が隣でその一部始終を正座して見ているのに気がついた。



「ちょっ、見るのやめてもらえますか、恥ずかしいので」

「えっ?あ、分かった、私トイレに隠れとく。」



嫁がトイレに入ったのを確認。

急いでおかずを探す。



シャーレに採取完了。



9時58分と記入。




「おーい、終わったよー」

「早っ!!」



「よし、すぐに行ってくるから。」

「いってらっしゃい」



車を走らせる。

平日の10時台は渋滞もなく、かなりスムーズに病院に到着。


受付にはカマキリしかいなかったので、

仕方なくカマキリにシャーレを提出。


「えっと、これは精子ですよね。」

「はい。一番搾りです。」

「・・・・これ、時間は合っていますか?」

「はい、9時58分間違いないです。」


時計をみると、10時4分。

めちゃくちゃ早く着いた。

おそらくカマキリに

こいついったいどこで出してきたんだと

疑われているのだと思ったが、

「すぐに検査をお願いします。」

と強引に受付を済ませた。



診察室に呼ばれる。









おじいちゃん先生が神妙な顔で出てくる。











「若鶏さん、あなた、5日禁欲されました?」










「へぁ!?」









「前回から2日しか経ってないけど、

 5日間、禁欲されてないですよね」









「はい。」

ちょっとまて、そんなこと一言もいわれなかったぞ。












「本来なら、5日禁欲した状態で検査するのですが。」










「はい」














「2日でこの状態なら全然大丈夫です」











「あ、ありがとうございましたー」





おじいちゃん先生のお墨付きをもらった僕は

すぐに○○書店に向かった。

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結婚して半年。

朝から、体に違和感を感じでいた。





左の玉が痛い。





今日、出勤してからさらに痛みが増した。

玉がフリーになる度、ズキズキと鈍痛が襲う。



課長が軽快に出勤してくる。

「おはよう、若鶏!」

「おはようございます。課長、ちょっとご報告があるんですが。」

「何だ。」

「片玉が痛いです。」

「まじか。大丈夫かよ。やばかったらすぐ言え。」

「はい。」


痛みに耐えながらパソコンの前でメールや溜まっている作業を片付ける。

片玉が痛い。片玉が痛い。

Kata Tama Itai Kata Tama Itai

KTI KTI

もう頭のなかで、痛みがぐるぐる回っていく。


昼休み、あまりにも玉が痛いので一度、トイレで確認。



3倍くらいに腫れ上がっていた。


正確には腫れているのは玉じゃない。

玉袋の血管みたいなみたいなやつがパンパンに腫れて、

糸こんにゃくのような感触になっている。

色もおかしい。そして熱い。

すでに僕の玉はお亡くなりになっている気がする。

嫁にメールを送る。



件名:片玉が痛い
本文:玉置浩二、マジで。



嫁から速攻「病院にいけ!」とメールが返ってきた。

痛みに耐えながら書いた渾身のボケへのツッコミはなかったが、



病院という発想はなかった。



そうと決まれば、すぐに病院だ。



だけど、KTIの症状はどの科を受診したらいいんだろうか。

ネットで調べてみる。

とりあえず、会社のPCからgoogleに「玉の痛み」と打ち込んでみた。

googleの予測変換で「金玉の痛み」が出てくる。



さすがgoogle。


会社のPCだし、ほんの少しぼかして「玉」と表現しているところ。

ダイレクトに「金玉」という表現を予測してくれる。


そんなgoogleの検索結果から、泌尿器科でよさそうということがわかり、

近くの泌尿器科に行くことにした。

課長に「やっぱり玉が痛いので、病院に行ってきます」と告げる。

「まじか、ちょっと見せてみろ」

「えっ?」

トイレで玉を見せる。


「こちらでございます。」

「うん、これは・・・すぐ病院だな。」


なぜ見たかったのだろう。

見せる必要があったのか、興味本位か。


真相はわからないが、すぐにタクシーを捕まえ

病院に向かった。



受付に到着。

受付の女性が2人いたが、

北川景子に良く似たきれいな女性に「お願いします」と保険証を提出。


その女性が恐る恐る

「あの、今日は、泌尿器科の方でいいですか?」

と聞いてくる。

ああ、ここは性感染症もやってたっけ。

「そうです。泌尿器科でお願いします。」

「わかりました、じゃあこの問診票を書いて、あちらでお待ちください。

 それと、おしっこの検査があるので、おしっこは我慢しててください。」
 
「はい。」

北川景子に「おしっこ」やら「我慢して」やら言われ、

すぐに僕のロビンソンが宇宙の風を感じ始めた。


待合室で問診票を書く。

Q:今日はどのような症状ですか?

選択欄を見渡せども、KTIの症状はない。


仕方なく、その他に○をつけ(睾丸が痛い)と書き込む。


それで、住所、名前を書いて、北川景子に提出。

その問診票をカマキリによく似た受付の女性にシュッと奪われ、


「大変失礼ですが、こちらの症状ではございませんか?」


と聞かれる。

女性は「性病の疑いがある」のチェック欄を指さしていた。



「いや、その、無いです。僕は、妻とだけなんですよ。」



僕は急に横から出てきたカマキリに訳の分からないことを口走り、

席に戻る。



「若鶏さーん!ちょっとお話いいですかー?」

と白衣を着た牧瀬里穂に似た女性が僕を呼ぶ。

個室でお話をすることに。


「いつごろからこの症状が出ましたか?」

「今日の朝です。」

「どんな感じで痛いですか?

「なんかジンジンする感じです。」

「わかりました。後ほど詳しく見ますので、
 
 あちらのトイレで検尿をお願いします。」

「はい」


うーん、詳しく見られるのか。

こんなことなら、おしぼりかなんかで

きれいきれいしてきたらよかったな。


トイレで検尿を終え、診察室の前で待つ。




若鶏、齢、三十にして立つ。でも勃たず。

そんな風に言われたくない。

運命の扉の前で、僕は祈った。

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ふと、親父の笑い声で目が覚めた。

と同時に、布団の中から強烈な腐卵臭が漂ってきた。







親父は自分の布団から僕の布団まで、足元にトンネルを作り

自分の屁を送り込んできていた。









「トンネルが開通しました!」






それはそれは嬉しそうに。






「何!もう!臭すぎる!」

小学4年の若鶏もさすがに親父に抗議する。



「あはは、早く寝ろよ。」

といって、親父は布団をかぶった。



この理不尽なやりとりに本気でむかつきながら

僕も布団をかぶった。



親父の屁が空気より重いため、いくら寝返りをしても

ずっと辺りに漂っている。



臭くて寝れないので足元で点いているテレビを見始めた。



ねるとん紅鯨団。



親父も見ているようだ。

カップルが成立するかどうか、行方を見守っていたところ、



親父の布団がもぞもぞし始めた。



なんだろうと思ってその様子を見ていると、

どうも股間を触っているのではないか、という気がしてきた。



なんで触るのか、よくわからないけど、

親父が触っているみたいだし

僕も触ってみようと思った。



どうやって触っているのか、わからないので、

とりあえず、皮を親指と人差し指で摘んで、

枝豆を剥くように、プリッ、プリッと動かしてみた。



親父の布団の動くリズムに合わせて、僕も

プリップリッとユニゾンする。





すると、急に、



ものすごく急に、



足元からぞわぞわっと今まで感じたことのない何かが

押し寄せてきた。





なに、これ。





体が勝手にのけぞって布団からどんどんはみ出していく。




「あああああああああああ!」




急に叫びだしたので、親父がびっくりして



「若鶏!どうした!?大丈夫か?若鶏!!」



と抱きかかえた。






僕は親父の腕の中で初めての絶頂を迎えた。


関連記事(ロト3部作)
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中学1年のある日、

給食の牛乳がたくさん余るようになった。




家庭科で「牛乳は意外とカロリーがある」みたいな

授業があったせいだ。



女子が牛乳を飲まない。



そのまま残してももったいないので、

クラスの、おかわり四天王が

2~3本飲んでいいことになっていた。



僕もおかわり四天王「朱雀」を司る

フードファイターだったので、

ここぞとばかりに牛乳をがぶ飲みしていた。



13本余った牛乳。

四天王が3本ずつ飲んで、残り1本。



最後はじゃんけんだ。

この時点で、ギブアップが出て、2人脱落。



じゃんけんの相手は、今までお腹がいっぱいになったことがない

100キロ超えのおかわり四天王「青龍」、小島。




「最初はグー!じゃんけんぽん!」




僕は小島をやぶり、念願の4本目の牛乳を手に取り、

小島の悔しそうな顔を尻目に、一気に飲み干した。




さて、




5時間目が始まる頃だろうか。

ふと、お腹にキューンと違和感が出てきた。



これから僕のお腹はどんどん痛くなっていきますよ。

というわかりやすい前兆だ。



この授業で終わりなので、家に帰ってすれば十分間に合う。

いつもなら、これでOKだ。



しかし今日は、牛乳を4本飲んでいる。



この牛乳4本の威力は凄まじく、

腹痛のファーストコンタクトから、あっという間に、

ゲートの裏1ミリのところまで持って行かれた。



激痛に顔を歪ませながら、耐える。

気を抜くとすぐにでも「こにゃにゃちは」するだろう。



耐えるしかない。

中学校という僕達の小さいコミュニティの中では

大の個室に入る=ギルティ(有罪)なのだ。



5時間目が終わる。

担任がなかなか来ない。




「早くしろっ!、間に合わなくなっても知らんぞー!」

ベジータのセリフが頭をよぎる。

これほどホームルームが待ち遠しかったことはない。







ガラガラ。



担任到着。










「はーい、じゃあ予定通り、

 今から心電図検査なんで。
 
 保健室の前に集合してください。」






「へぁ!?」





あまりの衝撃に思わず、声を出した途端、

僕の3分の2ほどの純情な感情が

もりもりもりもりとお尻の隙間を埋め始めた。



まて、



悟られてはいけない。



漏らす=

大の個室に入る以上の大きな十字架を背負う事になる。



最大の敵は臭いだ。


保健室に向かうクラスの列の最後尾にしっかりと陣取り、

臭いをガード。

完璧な布陣である。



保健室につくと、名簿順で呼ばれ始めた。

最悪だ。

若鶏の名簿は4番目なのだ。



保健室の前で待機しているときから、

「くさっ!」」

「なんだこれ!」

と少しざわつき始めた。




「なーなー、若鶏くん、なんか臭くない?」

「いや?全然臭くないよ。」

完璧な受け答えで何とか誤魔化す。



「次、若鶏!」

呼ばれて保健室に入る。



お医者さん、看護婦さん、先生、みんな眉間にしわを寄せて

何かを言いたげだ。



看護婦さんが案内する。

「じゃあ、検査しますのでこのベッドに寝てください。」





寝たら大変なことになる!




僕はそのことを伝えたかったが、

「早くしなさい」

という圧力に屈し、ベッドに転がった。




予想通り、僕の自重で染みだした絞り汁は

保健室のベッドのシーツに茶色い世界地図を描いていく。



突如けたたましく、電子音がなる。



「心拍数がおかしいので、あとでもう一度測り直します。」

だろう。そりゃこんだけドキドキしてたら、測り直しだ。



クラス全員の心電図検査が終わり、

最後に僕だけもう一度検査を行う。



保健室の悪臭は申し訳なく思ったが、

漏らしたことがバレる代償を考えると、

背に腹は替えられん。



心のなかで先生たちに謝る。



最後一人、教室に戻る途中、

トイレでパンツごと流し

みんなが待つ教室へ。



ホームルームも滞り無く、終了。

無事帰路につく。





翌日、小学生の弟から

「昨日兄ちゃん、うんこもらしたんでしょ?」

と聞かれる。

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WiFiを導入する時に活躍してくれた後輩、
中路主任。

明るく、朗らか。
責任感もあり、仕事も一生懸命。
夜勤と通常勤務を交互に繰り返すきついシフトにも
文句ひとつ言わない。

周りのみんなからの信頼も厚く、
まさに次世代のリーダーとなる人物である。

その中路主任に一つだけ欠点がある。












「髭が濃い」








中路主任が出勤してきた時でさえ
上司から「お前、明けだろ?早く帰りなさい!」
と心配されるレベル。


そんなヒゲで判断されてる中路主任が誕生日を
迎えるということで、

職場の仲間から日頃の感謝も兼ねてお誕生会が開催された。


「中路さんお誕生日おめでとうございます!」
みんな次々にお酒を注ぎにいき、感謝を述べる。


最後には大量のプレゼントを抱えながら

「今日は本当にありがとうございました」

と深々と頭を下げ、ニコニコうれしそうに帰っていった。







次の日、

会社の自販機でコーヒーを買っていると、




「あ、若鶏さん、昨日はありがとうございました。」
と中路主任が挨拶をしてきた。

「いやいや、いつもお世話になってるお礼だよ。」



「私なんかに、すいません。で、今ちょっといいですか?」



「なんだ、どうした?トラブルか。」













「いや、昨日のプレゼントの中に、

 ローターが入ってたんですが、

 なにか知りませんか?」





僕は勢い良く、コーヒーを吹いた。


あわててティッシュでコーヒーを拭きながら

「いや、僕ではないです。違います。」





「いったい誰ですかね、こんなことするの。


 家の俺の部屋なんですけど、

 
 妹と間仕切りして使ってるんですよ。


 で、昨日2時くらいに帰ってきて、


 とりあえずプレゼント開けるじゃないですか。


 そしたらローターが出てくるじゃないですか。


 AVとかで、女優がローターでビクンビクンなってるから


 どんだけ気持ちいいんだって思うじゃないですか。


 で、電池入れて、乳首に当てて


 電源入れるじゃないですか。
 

 結構イイじゃないですか。


 だんだん下の方にいくじゃないですか。


 先っぽに当たるじゃないですか。


 ツマミをマックスにするじゃないですか。


 そしたら、ヴーーーーーーーン、ていうじゃないすか。


 そしたら妹が

















『お兄ちゃん、夜中にひげそりやめてー』








 っていうんすよ。


 俺、ローターにもヒゲのこと馬鹿にされてるんですかね。」

 
 がんばれ中路主任

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学生時代、僕は講義そっちのけでサークル活動に勤しんでいた。

特に、お酒は全然飲めなかったんですが、サークルの飲み会が大好きで、
ああ、先輩や仲間と、こうやって仲良くなっていくんだなあ、
この雰囲気いいなあ、楽しいなあと感じるようになっていった。

先輩が抜けて、僕らが先輩と呼ばれるようになって、
二人の後輩がサークルに入ってきた。

先輩のいうことをきちんと守り、だんだん実力をつけてきた
「タカシ」

先輩のいうことを全然聞かないが、才能で勝負の
「ヤス」

僕は、タカシから次回の県外遠征後の打ち上げについて
相談を受けていた。

「若鶏先輩、俺、先輩の言うことを全然聞かないヤスを
 今度の打ち上げのときに、潰そうと思うんですけど、どうすか。」

確かに、タカシのいうとおり、ここらでお灸を据えておかないと
増長するかもしれん。

「ほどほどにしとけよ。」

タカシはニヤリと笑うと

「わかりやした。」

と返事をした。




そして県外遠征当日。

狭い居酒屋の座敷で打ち上げがスタートした。

ヤスの前に陣取るタカシを中心とした後輩グループ。

事情を知っている僕たちも、ちらちらと様子を気にしながら

タカシたちを見守っていた。


「いやーヤス、今日はいい動きしてたねー。
 やっぱすげーなー。ま、ま、一杯」

なんて言いながらタカシが酒を注ぐ。

「いやー、そんなことないよー。あ、あざーす。」

と言いながら、グラスを飲み干し、すぐに注ぎ返すヤス。


どうも、ヤスはザルらしく、タカシたちが一人、また一人と
倒れていく。




お前ら、全然飲めんやん。




打ち上げ開始から1時間。

タカシグループ全滅、ヤスはしかたなく僕達のグループまで乗り込んできた。

「お、ヤス来たなぁ。ヤスはお酒強いなぁ。
 ここからはやさしいヨウヘイ先輩が相手してあげるよ。」

そう言って酒豪のヨウヘイとヤスは仲良く飲み始めた。



しばらくたっただろうか。



「うわー、俺結構、酔っ払ってる、足にキテるわー」

立ち上がったヤスがそんなこといいながらトイレに向かった。



「若鶏ー、若鶏ー、ちょっと来てー!」

ヨウヘイに呼ばれた。

声のする方へ歩いて行くと、

トイレの前でヨウヘイが手をこまねいている。



「ありえんことが起こった!

 ありえんことが起こった!

 ちょっとトイレ開けてみて!」


何だ大げさな。

僕はちょっとめんどくさそうにトイレのドアを開けた。











ありえんことが起こった!








僕は叫んだ。




ヤスの茶色くなった菊の門が目に飛び込んできた。

狭いトイレは和式。

普通、和式のときのスタイルは、いわゆるうんこ座りという
スタイルで用を足すわけだが、

どういうわけか、




orz




このような四つん這いの体制で、金隠しを枕にして寝ている。

もちろんケツがこちら側を向いているので、丸見えだ。


便器や床は茶色いもので薄化粧。



臭いもきついので、一旦ドアを閉めた。

うーん。これはどこから手をつけようか。

ヨウヘイとどうしようかと話していると、

向こうからタカシがふらふらしながら近づいてきた。

「気持ちわるいっす。」

と、口に手を当てながらトイレのドアに手を掛ける。

「今、使えないよ」

僕が言うか言わないかでタカシが

「いや、無理っす。」

といいながら強引にトイレの中に入った。







タカシ、惨状目撃後、すぐに飛び出てくる。











が、









口を抑えながら
またすぐにトイレの中に戻る。









まさか!







ヨウヘイが、トイレのドアを開ける。









orzorz









タカシは、ゲロっていた。





ケツと便器のあいだに、





顔を差し込んで。





いつ上から爆撃されるかわからない恐怖と闘いながら。






地獄絵図。まさにこの言葉が当てはまる。




「あ、見て!若鶏!」



ヨウヘイが叫ぶ。



「ほら!入口がだんだん開いてきてる。タカシ!早く逃げろ!」

いやそこは、出口だろ。

僕は心のなかでそう思った。

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その日、若鶏家一同は泊まりがけで親戚の家の法事にいくことになっていた。

親戚の家は県外にあるため若鶏家では
近くのリゾートホテルに宿泊することが定番になっている。
朝食が美味しいのと、海が近くて窓から眺める景色が綺麗だからだ。

そして僕は家族に内緒で早起きして
一人海岸を散歩するのを密かに楽しみにしている。

今日もいつものようにそっと早起きして、部屋を抜けだした。

ホテルの裏から歩きにくい坂道をどんどん降りて行くと、
急に目の前に広がる水平線。
朝日に照らされてキラキラの海、そして心地よい潮風。

「地球に生まれてよかったー!」

僕は思わず、織田裕二のモノマネをする山本高広のモノマネをしながら
海に向かって叫んでいた。

小一時間程いただろうか、潮風が強くなってきたせいか
だんだんと体が冷えてきた。
そういえば、起きてすぐ部屋をでたので浴衣のまま来ていた。

このままだと、とても寒い。

もう戻ろかと引き返したとき、突然、突風が吹いてきた。

冷た!と思った、その途端、急にお腹が痛くなってきた。

なんで、すぐお腹痛くなるんだよ・・・と思いながら

トイレを探した。








ない。





ここは海岸線。トイレなどない。


"ここは最前線 まさに大接戦 勝利 手にすることが大前提"

頭のなかで、尊敬する 俺がジブラ・ザ・イルスキルのリリックと
海岸線が絶妙にシンクする。

僕のHIPHOP解放戦線はもう限界です。


ホテルへ戻るか、でも、間に合うのか。

トイレを我慢しながら様々な感情が僕の中で渦巻いている。
この砂浜、穴を掘れば便器になるんじゃないか。
海に入ってすれば魚の餌になるんじゃないか。
流木の影は便器にならないか。

目の前にある全てのものが便器に見える。

しかし、このままではジリ貧だ。
意を決して僕はホテルへと戻り始めた。

一歩一歩確実に、歩みを進める。
大切なのは前に出る姿勢。

・・・やばい。脂汗が出てくる。

これは、いよいよ危ない。


と思った時に、

ホテルに続く坂道の手前に小さい小屋を発見。

「便所」

と書いてあるのを確認、と同時に、陣痛クラスの波が押し寄せる。


「ぐおおおおおおおおおおおおおお」


最後の力を振り絞り、便所に駆け込む。


ドアを開ける。


チッ!和式か。

洋式ウォシュレット派の僕としては、少し抵抗があったが、
背に腹は替えられん。

すぐに便器にまたがる。

パンツが下がるのが先か、中身が出るのが先か。

ここまで来たら後は勝負。



「間に合ええええええええええ」

















ビビビビビビビビビビビ







・・・ふぅ。

セーフ。

間に合った。

パンツが勝ったのだ。

自分自身に勝ったのだ。

全身が安堵感に包まれる。



痛みに耐えてよく戦った、感動した!

自分で自分を褒めたいです。

とっても楽しい42.195kmでした。



どこからともなく有名スポーツ選手の勝利の声が響いてきた。

よかった。

危なかった。

本当によかった。




勝利に酔いしれながら、紙をカラカラ巻き上げ、下を見ると

不思議なことに気がついた。


・・・無い。



今出したものが無い。

これは、おかしい。

今出したのってもしかして、おなら?




なんだ、おならかよ。

数多の星空のように煌めく幾千の腹痛に勝利してきた私が

まさかおならと間違えるとは。


弘法も筆の誤り。

俺の括約筋もたまには人間らしいミスをするなぁ。がはは。



そう思いながらスッと立ち上がると


腰と尻に、ぬるりと生暖かいものが。









どうやら、パンツだけ下ろして浴衣をまくりあげていなかったようです。










この後、さらに事件が起きたようですが、
それはまた別のお話。

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