忍者ブログ
日記だったり、ネタだったり、備忘録だったり。 若鶏のからあげ先生が日常をユーモラスに描きます。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「そう、奇しくも同じ日の出来事なんです。」

Wi-Fiが来た日


中路主任が外国のお客様と流暢な英語で会話を
楽しんでいるその頃、事件は起きていた。

「はい・・・何から話せば良いか・・・
 そうですね、それでは当時の状況から・・・」

若鶏K氏(当時33・仮名)の独白が始まった。

-------------------------------------------------------

僕は当時、丸田さんという女性と一緒に
大きなプロジェクトを推進していました。

職場の業務システムの更新という骨のある仕事です。

システムの更新は通訳のようだった。

部門ごとの要望を取りまとめ、SEが分かるように説明し
SEからの回答や方針を、現場に分かるように説明する。

そうやって決めた仕様が2週間くらいで構築され
それをまた部門ごとにテストして要望をまとめる。

その繰り返しだった。

システムを旧から新に切り替える日までに
全ての人が納得できる形で作り込まなくてはいけない。
そして何より、このプロジェクトを手伝うためだけに
他の部署から異動となった丸田さんの存在もあった。

会社のお金も人も時間もたくさん使っている。

重圧だった。

そしてさらにこのプロジェクトと並行して
業務エリア全面のWi-Fiスポットの導入が鶴の一声で決まった。

調整、調整、飲み、調整。

僕達の業務時間は調整に追われ、手を動かす仕事は深夜に及んだ。


Wi-Fiを導入する前日。

その日は
旧システムと新システムを並走させるために
新システムに火を入れる大切な日でもあった。

夕方までに現場との調整を終え、直前の新たな仕様変更を
急ピッチで進める開発陣。

システムの導入の合間を縫ってWi-Fi工事の進捗確認をする。

Wi-Fiの工事は完了したと連絡があった。
良かった。
これで中路主任の期待にも応えることができた。

残るは新システムの方だけだ。


午前4時。

新システムの火入れが完了。
これから1ヶ月間、並走させ運用状況をモニタリングできる。

僕達は安堵した。

これからさらに調整はあるものの
一旦は新システムの形を作ることができたからだ。

開発陣にねぎらいの言葉をかけ、解散。

僕達二人も朝から仕事の為、会社で仮眠をすることにした。


「やっと一山越えたぞ」

一人になってようやく仕事から開放されたが、
やり遂げた興奮からか中々寝付けない。

そうだそうだ。

今日Wi-Fiも入れたんだよなぁ。
テストも兼ねて、ちょっと見てみるか。

携帯を見るとWi-Fiの電波をビンビンに受信していた。

「あらいいですね。」

通信速度を見るためには動画がスムーズに見られるかどうかだ。

これが肝心だと思った僕は
いつものトーキョーナントカチューブを立ち上げてみる。

早い!

シームレスに動画を再生できる。
これならお客様にも十分にオススメできる。

そう確信した僕は、
8回前後の前前前立腺の律動を
そのぶきっちょなティッシュめがけて出して来たんだよ。


8回目でようやく訪れた賢者タイムの中、
僕は事の重大さに気がついた。

このゴミ箱に咲いたいっぱいの
青春の白いバラたちをどう処理するか。

これをこのまま放置していたら、
あとでなんて言われるかわからん。

近くにあったスーパーの袋に摘んだバラの花弁を
一つ一つ丁寧に収めた。

ここで、千石君が僕によく言っていた言葉を思い出した。

「若鶏さんって、最後、ぜったい油断してツメが甘くなりますよね。」

そうだった。

僕は油断する男だ。

このスーパーの袋は会社では捨てない。
証拠は残さない。

明日コンビニに捨てに行く。

そう決意して、就寝した。


Wi-Fiを導入した日、

僕はギリギリで間に合った朝の全体ミーティングで連絡を流した。

「今日から、お客樣の声に応えてお店にWi-Fiを導入します。
 お客様から問い合わせがあったらかくかくしかじか・・・」

発表が終わって上司を見ると、満足そうな顔で大きく頷いていた。
新システムも並行して実施できたことに手応えを感じていた。


仕事場にいくと丸田さんが出勤していた。
「すごいクマですね!昨日大変だったんでしょう。」
「そんなことないさ」

さわやかな笑顔でスマイルを返す。
僕の手さげの中にはとんでもないスーパーの袋が入っている。
早くこいつを処理しないといけない。

丸田さんが続ける。
「若鶏さん、さっき電話があってて、
 中路主任がWi-Fiの案内の英語版はないかって問い合わせあってます。」
「ああ、さっきなんかやってたのは見たよ。対応する。」

そうこうしているうちに、
仕事がどんどん舞い込んできた。

一生懸命に仕事に打ち込む若鶏。

僕のデスクと丸田さんのデスクの間には無造作に置かれた
処理をするはずのパンドラボックス。

僕はこのパンドラボックスを死守しなければいけない。
死と隣り合わせの危険な仕事だ。

重圧だった。

結局その日はそのまま夜8時まで仕事をすることになった。


やっと仕事から開放され、荷物をまとめ
フラフラしながら一直線に家に帰る。
そして泥のように眠った。

嫁の声で眼が覚めた。

起きると、僕の手さげの中のスーパーの袋は消え、
キレイに畳まれた泊まり用の下着が入っていた。

僕は帰りにコンビニには立ち寄っていないんです。

今思い返してもとても不思議な事件でした。



システムアドミニストレーターの仕事ってこんなに大変だけど
不思議なことがいっぱいあります。

もしこのブログを見ている人の周りに
システムアドミニストレーターの人がいたら
やさしくしてあげてください。


そしてこのブログを誕生日を迎えた
嫁に捧げます。

ハッピーバースディ!


拍手[3回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
白薔薇の儀式
白いバラは、『尊敬・純潔・約束を守る』等とあります。
まぁ、今回の内容にはまったく関係の無いはなしでしたね。
beck 2017/01/08 (Sun) 03:04 編集
無題
Beckさんコメントありがとうございます。
いえ、よく読んで頂けると奇しくも花言葉と僕の言いたいことが一致していると感じます。偶然とはいえ、不思議な気持ちになりました。
若鶏のからあげ 2017/01/08 (Sun) 08:13 編集
<< 入賞   |  HOME  |   NPSS >>
プロフィール
HN:
若鶏のからあげ
性別:
男性
趣味:
料理
自己紹介:
時は来た!それだけだ!

HNの由来:
好きな食べ物から

ブログ名の由来:
僕の国という意味です。

Template by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]