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日記だったり、ネタだったり、備忘録だったり。 若鶏のからあげ先生が日常をユーモラスに描きます。
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その頃、夏場に落ち込む売上は

屋上でビアガーデンを催してカバーするのが決まりだった。



若鶏のからあげ、入社2ヶ月。

上司は城田課長。



今は執行役員の城田課長も

この頃は上からいろいろと言われていた。



今年は売上が例年より悪いので

ビアガーデンでもカバーしきれない。

そこで、城田課長、何か手を打ちなさい、と。



城田課長が毎晩遅くまで残って企画を考える。

僕は一緒に残って城田課長が考えた企画を

せっせとエクセルにまとめていく。

これが僕のコーヒーの準備以外の初めての仕事だ。



一緒に作業をする中で、一つだけわかった。



城田課長は

数字の話しや考え方、何が流行っているのか、

お客様が何を考えているのか、期待しているのか

などなど、たくさんのことを

何にもわからない入社2ヶ月の僕に実戦で叩き込もうとしている。



上司が期待してくれている。



それだけで十分嬉しい。

僕は一生懸命、尊敬する城田課長に食らいついていって

期待に応え、課長の企画を成功させなければならない。



城田課長が企画したのは、

ビアガーデンで1日だけダンスショーをするという企画だ。



ダンサーの人たちも販売に協力してくれて

チケットはすぐに完売。

あとはイベントを成功させるだけだ。



当日、ダンスショーが始まる。

僕の仕事はダンサーの動きに合わせて

スポットライトを当てる係だ。



城田課長はステージ袖と控室を行ったり来たりして

ダンサーにキュー出しをしている。



ビアガーデンのスタッフも一生懸命頑張って、

ダンスショーが何の問題もなく無事に終わった。



僕たちはダンサーの控室に食事を運び、

お客様からの反応や、感想を伝え

今日は無事に終わってよかった、よかったと言いながら、

お見送りした。



控室の片付けも終わり、

ビアガーデンの片付けはどうなったか見に行くと。

まだ1組お客様が残っており、片付けがまったく進んでいなかった。



城田課長が、遠目で見ながら

「あのお客様達、誰?」

と小声でスタッフに聞くと、






「社長です。」






と返ってきた。

よく見てみる。

一人の影に隠れて顔は見えなかったが、

あの頭皮は社長で間違いなかった。



「もう、あのやろう・・・、若鶏、追い出してこい!」



「はい!」



「いや、冗談だよ。はぁ、かわりにスポットライト当てといてよ。」



課長はそう言い残して、別のスタッフのところへ。



僕はとりあえず、スポットライトの電源をON。

社長に向かってスポットライトを当て始める。

社長がこちらをちらちら見ながら眩しそうにしている。

心なしか、少し光が反射しているようにも見える。



すると遠くから見ていた城田課長がものすごい勢いで走ってきた。







「バカ!お前何やってんだ!殺されるぞ!」





「えっ?やれといわれたのでやりましたが。」





「冗談だよ!冗談!」




「えぇ~?」




この酷い初見殺しに引っかかった僕は、

今でも、あの時どうすれば正解だったのか、答えは出せていません。




この後すぐに僕は異動になった。




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中学1年のある日、

給食の牛乳がたくさん余るようになった。




家庭科で「牛乳は意外とカロリーがある」みたいな

授業があったせいだ。



女子が牛乳を飲まない。



そのまま残してももったいないので、

クラスの、おかわり四天王が

2~3本飲んでいいことになっていた。



僕もおかわり四天王「朱雀」を司る

フードファイターだったので、

ここぞとばかりに牛乳をがぶ飲みしていた。



13本余った牛乳。

四天王が3本ずつ飲んで、残り1本。



最後はじゃんけんだ。

この時点で、ギブアップが出て、2人脱落。



じゃんけんの相手は、今までお腹がいっぱいになったことがない

100キロ超えのおかわり四天王「青龍」、小島。




「最初はグー!じゃんけんぽん!」




僕は小島をやぶり、念願の4本目の牛乳を手に取り、

小島の悔しそうな顔を尻目に、一気に飲み干した。




さて、




5時間目が始まる頃だろうか。

ふと、お腹にキューンと違和感が出てきた。



これから僕のお腹はどんどん痛くなっていきますよ。

というわかりやすい前兆だ。



この授業で終わりなので、家に帰ってすれば十分間に合う。

いつもなら、これでOKだ。



しかし今日は、牛乳を4本飲んでいる。



この牛乳4本の威力は凄まじく、

腹痛のファーストコンタクトから、あっという間に、

ゲートの裏1ミリのところまで持って行かれた。



激痛に顔を歪ませながら、耐える。

気を抜くとすぐにでも「こにゃにゃちは」するだろう。



耐えるしかない。

中学校という僕達の小さいコミュニティの中では

大の個室に入る=ギルティ(有罪)なのだ。



5時間目が終わる。

担任がなかなか来ない。




「早くしろっ!、間に合わなくなっても知らんぞー!」

ベジータのセリフが頭をよぎる。

これほどホームルームが待ち遠しかったことはない。







ガラガラ。



担任到着。










「はーい、じゃあ予定通り、

 今から心電図検査なんで。
 
 保健室の前に集合してください。」






「へぁ!?」





あまりの衝撃に思わず、声を出した途端、

僕の3分の2ほどの純情な感情が

もりもりもりもりとお尻の隙間を埋め始めた。



まて、



悟られてはいけない。



漏らす=

大の個室に入る以上の大きな十字架を背負う事になる。



最大の敵は臭いだ。


保健室に向かうクラスの列の最後尾にしっかりと陣取り、

臭いをガード。

完璧な布陣である。



保健室につくと、名簿順で呼ばれ始めた。

最悪だ。

若鶏の名簿は4番目なのだ。



保健室の前で待機しているときから、

「くさっ!」」

「なんだこれ!」

と少しざわつき始めた。




「なーなー、若鶏くん、なんか臭くない?」

「いや?全然臭くないよ。」

完璧な受け答えで何とか誤魔化す。



「次、若鶏!」

呼ばれて保健室に入る。



お医者さん、看護婦さん、先生、みんな眉間にしわを寄せて

何かを言いたげだ。



看護婦さんが案内する。

「じゃあ、検査しますのでこのベッドに寝てください。」





寝たら大変なことになる!




僕はそのことを伝えたかったが、

「早くしなさい」

という圧力に屈し、ベッドに転がった。




予想通り、僕の自重で染みだした絞り汁は

保健室のベッドのシーツに茶色い世界地図を描いていく。



突如けたたましく、電子音がなる。



「心拍数がおかしいので、あとでもう一度測り直します。」

だろう。そりゃこんだけドキドキしてたら、測り直しだ。



クラス全員の心電図検査が終わり、

最後に僕だけもう一度検査を行う。



保健室の悪臭は申し訳なく思ったが、

漏らしたことがバレる代償を考えると、

背に腹は替えられん。



心のなかで先生たちに謝る。



最後一人、教室に戻る途中、

トイレでパンツごと流し

みんなが待つ教室へ。



ホームルームも滞り無く、終了。

無事帰路につく。





翌日、小学生の弟から

「昨日兄ちゃん、うんこもらしたんでしょ?」

と聞かれる。

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WiFiを導入する時に活躍してくれた後輩、
中路主任。

明るく、朗らか。
責任感もあり、仕事も一生懸命。
夜勤と通常勤務を交互に繰り返すきついシフトにも
文句ひとつ言わない。

周りのみんなからの信頼も厚く、
まさに次世代のリーダーとなる人物である。

その中路主任に一つだけ欠点がある。












「髭が濃い」








中路主任が出勤してきた時でさえ
上司から「お前、明けだろ?早く帰りなさい!」
と心配されるレベル。


そんなヒゲで判断されてる中路主任が誕生日を
迎えるということで、

職場の仲間から日頃の感謝も兼ねてお誕生会が開催された。


「中路さんお誕生日おめでとうございます!」
みんな次々にお酒を注ぎにいき、感謝を述べる。


最後には大量のプレゼントを抱えながら

「今日は本当にありがとうございました」

と深々と頭を下げ、ニコニコうれしそうに帰っていった。







次の日、

会社の自販機でコーヒーを買っていると、




「あ、若鶏さん、昨日はありがとうございました。」
と中路主任が挨拶をしてきた。

「いやいや、いつもお世話になってるお礼だよ。」



「私なんかに、すいません。で、今ちょっといいですか?」



「なんだ、どうした?トラブルか。」













「いや、昨日のプレゼントの中に、

 ローターが入ってたんですが、

 なにか知りませんか?」





僕は勢い良く、コーヒーを吹いた。


あわててティッシュでコーヒーを拭きながら

「いや、僕ではないです。違います。」





「いったい誰ですかね、こんなことするの。


 家の俺の部屋なんですけど、

 
 妹と間仕切りして使ってるんですよ。


 で、昨日2時くらいに帰ってきて、


 とりあえずプレゼント開けるじゃないですか。


 そしたらローターが出てくるじゃないですか。


 AVとかで、女優がローターでビクンビクンなってるから


 どんだけ気持ちいいんだって思うじゃないですか。


 で、電池入れて、乳首に当てて


 電源入れるじゃないですか。
 

 結構イイじゃないですか。


 だんだん下の方にいくじゃないですか。


 先っぽに当たるじゃないですか。


 ツマミをマックスにするじゃないですか。


 そしたら、ヴーーーーーーーン、ていうじゃないすか。


 そしたら妹が

















『お兄ちゃん、夜中にひげそりやめてー』








 っていうんすよ。


 俺、ローターにもヒゲのこと馬鹿にされてるんですかね。」

 
 がんばれ中路主任

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「ちょ、ちょ、若鶏、会議で大変なことになったぞ。」

上司の清田部長は、机に着くなり僕をデスクまで呼んだ。


「いやね、正月のイベントの件を話してたらさ~、

 社長が、『獅子舞はどうだ?獅子舞は。え~?』

 っていうもんだからさ~、やることになったのよ獅子舞。

 はぁ、もうあれ完全に思いつきだからね。」


「出ましたね、社長の思いつき。」


「だろ~?まじどうするんだよ・・・

 若鶏、ごめんけど、とりあえず獅子舞あたってもらえる?」


「わかりました。」


自分のデスクにもどり、とりあえずgoogleで検索してみる。

どうやら市町村ごとに大まかに獅子舞の団体があるみたいで

うちの市には大きな獅子舞保存会があるらしい。

とりあえず、ここの獅子舞保存会にアポのメールいれとくか。




「清田部長、さっきの獅子舞の件ですけど・・・



 清田部長・・・



 清田部長?」





清田部長はガン無視で自分のデスクでイヤホンをしながら

しかめっ面でパソコンの画面を覗きこんでいる。


僕が部長のデスクに近づいていくと、やっと気がついたらしく

イヤホンを外しながら、

「どした?」

と聞いてきた。



「すみません、なんか忙しそうですね。部長、何聞いてたんですか。」

「ああ、これね?ちょっとこれを見てくれ。」


部長がパソコンの画面をこちらに向ける。

画面には、どこかの駅での獅子舞が舞うYouTubeの動画が映し出されていた。


「すごいだろ、これ。」

「はい。獅子舞ってこんなことするんすね。」



















「若鶏、俺こんなの覚えられないよ?」

















「いやいやいやいや!部長!やるんすか?やれって言われてるんすか?」



「いや、多分獅子舞を呼べってことだと思うんだけど、

 このシーズンどうなるかわからんでしょ?

 で、あと一ヶ月あるでしょ?

 最悪できるかどうか検証してたんだよ。

 獅子頭はアマゾンで12800円で買えそうなんで、

 あとは獅子の舞いだけなんだけど、これは無理。

 腰をやる。」


「ですよね。で、今獅子舞保存会にメールを送っているので、

 返事を待つ。で、いいですか?」

「オッケーオッケー」


それにしても、この最悪のことまで想定した段取りの良さ。

さすがである。





翌々日。

まだ返信が来ない。

「部長、今日も返事来てないです。

 電話番号も載ってません。」



「そうかー。やばいなー。やばいなー。

 どうしようかなー。やばいなー。

 やばいなー。どうしようかなー。

 俺、ホントに踊るのかなー?」



清田部長は最悪のことを想定したのか覚悟したのか

やばいとどうしようしか出てこなくなり

かなり、おテンパリのご様子。


そんな様子を見かねた、上司の上司にあたる、城田執行役員が、


「保存会の近くにある神輿保存会の人を知ってるから

 そこ経由で連絡先聞いてもらったら?」


とアドバイス。


「いや~、さすがですね、城田執行役員。

 ありがとうございます。ありがとうございます。」


テンパリながらも感謝を忘れない、清田部長。

さすがである。


そして聞いたらすぐに電話を掛ける。

さすがである。



「もしもし~、すみません、私



 ○○○○株式会社の清田と申します~。



 神輿保存会のヨコタ様の携帯でお間違いなかったでしょうか。



 はい~、いつも大変お世話になっております~。



 今お時間よろしいですか?すみません。


 
 あの~ヨコタさま、ちょっと教えて欲しいんですけど。














 獅子舞って、ご存知ですか?

 








 「お前、どんな聞き方してんだ!獅子舞くらい知ってるだろ、バカ!」
 
 城田執行役員の怒号がこだまする。


 このやりとりに事務所全員が笑いすぎで呼吸困難になる。

 さすがである。  




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 もう1曲遊べるドン

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こんにちは若鶏のからあげです。
昨日の夜からこたつを出しました。
あったかくていいですね。

さてネタのカテゴリーで一つ記事を追加しました。

空と君のあいだに
※お食事中の方には不適切な表現が含まれます。ご注意ください。

ぜひ御覧ください。感想お待ちしております。

拍手[0回]

学生時代、僕は講義そっちのけでサークル活動に勤しんでいた。

特に、お酒は全然飲めなかったんですが、サークルの飲み会が大好きで、
ああ、先輩や仲間と、こうやって仲良くなっていくんだなあ、
この雰囲気いいなあ、楽しいなあと感じるようになっていった。

先輩が抜けて、僕らが先輩と呼ばれるようになって、
二人の後輩がサークルに入ってきた。

先輩のいうことをきちんと守り、だんだん実力をつけてきた
「タカシ」

先輩のいうことを全然聞かないが、才能で勝負の
「ヤス」

僕は、タカシから次回の県外遠征後の打ち上げについて
相談を受けていた。

「若鶏先輩、俺、先輩の言うことを全然聞かないヤスを
 今度の打ち上げのときに、潰そうと思うんですけど、どうすか。」

確かに、タカシのいうとおり、ここらでお灸を据えておかないと
増長するかもしれん。

「ほどほどにしとけよ。」

タカシはニヤリと笑うと

「わかりやした。」

と返事をした。




そして県外遠征当日。

狭い居酒屋の座敷で打ち上げがスタートした。

ヤスの前に陣取るタカシを中心とした後輩グループ。

事情を知っている僕たちも、ちらちらと様子を気にしながら

タカシたちを見守っていた。


「いやーヤス、今日はいい動きしてたねー。
 やっぱすげーなー。ま、ま、一杯」

なんて言いながらタカシが酒を注ぐ。

「いやー、そんなことないよー。あ、あざーす。」

と言いながら、グラスを飲み干し、すぐに注ぎ返すヤス。


どうも、ヤスはザルらしく、タカシたちが一人、また一人と
倒れていく。




お前ら、全然飲めんやん。




打ち上げ開始から1時間。

タカシグループ全滅、ヤスはしかたなく僕達のグループまで乗り込んできた。

「お、ヤス来たなぁ。ヤスはお酒強いなぁ。
 ここからはやさしいヨウヘイ先輩が相手してあげるよ。」

そう言って酒豪のヨウヘイとヤスは仲良く飲み始めた。



しばらくたっただろうか。



「うわー、俺結構、酔っ払ってる、足にキテるわー」

立ち上がったヤスがそんなこといいながらトイレに向かった。



「若鶏ー、若鶏ー、ちょっと来てー!」

ヨウヘイに呼ばれた。

声のする方へ歩いて行くと、

トイレの前でヨウヘイが手をこまねいている。



「ありえんことが起こった!

 ありえんことが起こった!

 ちょっとトイレ開けてみて!」


何だ大げさな。

僕はちょっとめんどくさそうにトイレのドアを開けた。











ありえんことが起こった!








僕は叫んだ。




ヤスの茶色くなった菊の門が目に飛び込んできた。

狭いトイレは和式。

普通、和式のときのスタイルは、いわゆるうんこ座りという
スタイルで用を足すわけだが、

どういうわけか、




orz




このような四つん這いの体制で、金隠しを枕にして寝ている。

もちろんケツがこちら側を向いているので、丸見えだ。


便器や床は茶色いもので薄化粧。



臭いもきついので、一旦ドアを閉めた。

うーん。これはどこから手をつけようか。

ヨウヘイとどうしようかと話していると、

向こうからタカシがふらふらしながら近づいてきた。

「気持ちわるいっす。」

と、口に手を当てながらトイレのドアに手を掛ける。

「今、使えないよ」

僕が言うか言わないかでタカシが

「いや、無理っす。」

といいながら強引にトイレの中に入った。







タカシ、惨状目撃後、すぐに飛び出てくる。











が、









口を抑えながら
またすぐにトイレの中に戻る。









まさか!







ヨウヘイが、トイレのドアを開ける。









orzorz









タカシは、ゲロっていた。





ケツと便器のあいだに、





顔を差し込んで。





いつ上から爆撃されるかわからない恐怖と闘いながら。






地獄絵図。まさにこの言葉が当てはまる。




「あ、見て!若鶏!」



ヨウヘイが叫ぶ。



「ほら!入口がだんだん開いてきてる。タカシ!早く逃げろ!」

いやそこは、出口だろ。

僕は心のなかでそう思った。

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その日、若鶏家一同は泊まりがけで親戚の家の法事にいくことになっていた。

親戚の家は県外にあるため若鶏家では
近くのリゾートホテルに宿泊することが定番になっている。
朝食が美味しいのと、海が近くて窓から眺める景色が綺麗だからだ。

そして僕は家族に内緒で早起きして
一人海岸を散歩するのを密かに楽しみにしている。

今日もいつものようにそっと早起きして、部屋を抜けだした。

ホテルの裏から歩きにくい坂道をどんどん降りて行くと、
急に目の前に広がる水平線。
朝日に照らされてキラキラの海、そして心地よい潮風。

「地球に生まれてよかったー!」

僕は思わず、織田裕二のモノマネをする山本高広のモノマネをしながら
海に向かって叫んでいた。

小一時間程いただろうか、潮風が強くなってきたせいか
だんだんと体が冷えてきた。
そういえば、起きてすぐ部屋をでたので浴衣のまま来ていた。

このままだと、とても寒い。

もう戻ろかと引き返したとき、突然、突風が吹いてきた。

冷た!と思った、その途端、急にお腹が痛くなってきた。

なんで、すぐお腹痛くなるんだよ・・・と思いながら

トイレを探した。








ない。





ここは海岸線。トイレなどない。


"ここは最前線 まさに大接戦 勝利 手にすることが大前提"

頭のなかで、尊敬する 俺がジブラ・ザ・イルスキルのリリックと
海岸線が絶妙にシンクする。

僕のHIPHOP解放戦線はもう限界です。


ホテルへ戻るか、でも、間に合うのか。

トイレを我慢しながら様々な感情が僕の中で渦巻いている。
この砂浜、穴を掘れば便器になるんじゃないか。
海に入ってすれば魚の餌になるんじゃないか。
流木の影は便器にならないか。

目の前にある全てのものが便器に見える。

しかし、このままではジリ貧だ。
意を決して僕はホテルへと戻り始めた。

一歩一歩確実に、歩みを進める。
大切なのは前に出る姿勢。

・・・やばい。脂汗が出てくる。

これは、いよいよ危ない。


と思った時に、

ホテルに続く坂道の手前に小さい小屋を発見。

「便所」

と書いてあるのを確認、と同時に、陣痛クラスの波が押し寄せる。


「ぐおおおおおおおおおおおおおお」


最後の力を振り絞り、便所に駆け込む。


ドアを開ける。


チッ!和式か。

洋式ウォシュレット派の僕としては、少し抵抗があったが、
背に腹は替えられん。

すぐに便器にまたがる。

パンツが下がるのが先か、中身が出るのが先か。

ここまで来たら後は勝負。



「間に合ええええええええええ」

















ビビビビビビビビビビビ







・・・ふぅ。

セーフ。

間に合った。

パンツが勝ったのだ。

自分自身に勝ったのだ。

全身が安堵感に包まれる。



痛みに耐えてよく戦った、感動した!

自分で自分を褒めたいです。

とっても楽しい42.195kmでした。



どこからともなく有名スポーツ選手の勝利の声が響いてきた。

よかった。

危なかった。

本当によかった。




勝利に酔いしれながら、紙をカラカラ巻き上げ、下を見ると

不思議なことに気がついた。


・・・無い。



今出したものが無い。

これは、おかしい。

今出したのってもしかして、おなら?




なんだ、おならかよ。

数多の星空のように煌めく幾千の腹痛に勝利してきた私が

まさかおならと間違えるとは。


弘法も筆の誤り。

俺の括約筋もたまには人間らしいミスをするなぁ。がはは。



そう思いながらスッと立ち上がると


腰と尻に、ぬるりと生暖かいものが。









どうやら、パンツだけ下ろして浴衣をまくりあげていなかったようです。










この後、さらに事件が起きたようですが、
それはまた別のお話。

拍手[3回]

「Wi-Fiは使えないのか!今どきWi-Fiも使えないなんて!」

お客様からの声を頂いた。
というより、頂き続けている。

現場のスタッフはもっと言われている。

後輩から
「毎日毎日お客様からWi-Fiの問い合わせがあるが
断り続けている。からあげさん、なんとかして欲しい」
という声ももらった。

お客様にとってWi-Fiは当たり前だ。
でも僕の職場にとっては厳しい声だ。

なにせお金が無い。

Wi-Fiを入れても売上が上がるとは限らない。
むしろ社内では回転が悪くなるんじゃないかという
意見まで出る。

やらない理由なんか出そうと思えばいくらでも出る。

会議で意見が一つに纏まろうとした時、
空気を読まない社長が、空気を読まず発言した。

「お客様の声を無視することはできない。
 からあげ君、なんとかできないか。」

社長から直接僕に声がかかった。

「からあげ、お前、できるか?」

上司が心配そうに声をかけてくれた。
僕は二つ返事で引き受けた。

この問題を解決するためには、とにかくお金だ。

僕はすでに予算化されている新規プロジェクトの導入コストを
徹底的に見直し、1割程削減した。

そして、Wi-Fiの導入コストも既存の有線LAN回線を流用する方法で、
うまく金額を押さえ、Wi-Fiの導入を予算の中にねじ込んだ。

Wi-Fiを導入した日、
僕は朝の全体ミーティングで連絡を流した。

「今日から、お客様の声に答えてお店にWi-Fiを導入します。
 お客様から問い合わせがあったらパスワードをご案内してください。
 パスワードは電話番号と同じで◯◯◯ー◯◯◯ー1111です。」

発表が終わって上司を見ると、満足そうな顔で大きく頷いていました。
現場の状況を訴えてきた後輩も、僕のほうを見て頭を下げた。

本当にうまく行ってよかったな

と思っていると、
お店に1本の電話がかかってきた。
後輩が電話に出る。

「お電話ありがとうございます!…はい、イエス…イエス…」

どうも外国人のようだ。

「イエス、ワイファイ、アー、イエス、オーケー?」

Wi-Fiについての問い合わせだろうか。

「パスワード、オーケー?」

パスワードを聞いてきているようだ。

「◯◯◯ハイフォーン◯◯◯ハイフォーン、ワンワンワンワ~ン」

(ワッツ?)

「ワンワンワンワ~ン」

(ワッツ?)

「う~ん、ワンワンワンワ~ン

(パドゥン?)

ワン、ワン、ワン、ワ~ン

(パドゥン?)

ワンッ↑、ワンッ↓、ワンッ↑、ワ~ン↓



「Wi-Fiは使えないのか!今どきWi-Fiも使えないなんて!」
お客様の声の行方は後輩に託された。


拍手[2回]

祝!ブログ開設!
一発目の記事にお越しの皆様閲覧ありがとうございます。

さて今日からブログを始めることとする。
最初のブログなので、所信表明のような内容がよかろうか。
とりあえずタイトルは好きなものからとりました。

何をしたいか、ざっくりとカテゴリーに適当に書き出してみる。
でもまだまだ他にもいっぱいやりたいことがある。
動画も作ってみたい、料理のレシピも公開してみたい。

でもこうやってカテゴリーにしても
僕の人生の経験上、大体1回で終わる。

一つのジャンルで1回大きな花火を打ち上げたら満足。

本当は何回もやってみて分かることや感じることがあると思うけど、
今ある能力の全力を出して終わり。
そこから先の成長はない。
仕事や私生活も含めて、僕はそういう人間だ。

でも僕は今回打ち上げた花火の数を数えてみたくなりました。
今回のブログはできるだけ頑張って更新したいです。

それではからあげの国をお楽しみください。

以上

拍手[4回]

プロフィール
HN:
若鶏のからあげ
性別:
男性
趣味:
料理
自己紹介:
時は来た!それだけだ!

HNの由来:
好きな食べ物から

ブログ名の由来:
僕の国という意味です。

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