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日記だったり、ネタだったり、備忘録だったり。 若鶏のからあげ先生が日常をユーモラスに描きます。
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「ちょ、ちょ、若鶏、会議で大変なことになったぞ。」

上司の清田部長は、机に着くなり僕をデスクまで呼んだ。


「いやね、正月のイベントの件を話してたらさ~、

 社長が、『獅子舞はどうだ?獅子舞は。え~?』

 っていうもんだからさ~、やることになったのよ獅子舞。

 はぁ、もうあれ完全に思いつきだからね。」


「出ましたね、社長の思いつき。」


「だろ~?まじどうするんだよ・・・

 若鶏、ごめんけど、とりあえず獅子舞あたってもらえる?」


「わかりました。」


自分のデスクにもどり、とりあえずgoogleで検索してみる。

どうやら市町村ごとに大まかに獅子舞の団体があるみたいで

うちの市には大きな獅子舞保存会があるらしい。

とりあえず、ここの獅子舞保存会にアポのメールいれとくか。




「清田部長、さっきの獅子舞の件ですけど・・・



 清田部長・・・



 清田部長?」





清田部長はガン無視で自分のデスクでイヤホンをしながら

しかめっ面でパソコンの画面を覗きこんでいる。


僕が部長のデスクに近づいていくと、やっと気がついたらしく

イヤホンを外しながら、

「どした?」

と聞いてきた。



「すみません、なんか忙しそうですね。部長、何聞いてたんですか。」

「ああ、これね?ちょっとこれを見てくれ。」


部長がパソコンの画面をこちらに向ける。

画面には、どこかの駅での獅子舞が舞うYouTubeの動画が映し出されていた。


「すごいだろ、これ。」

「はい。獅子舞ってこんなことするんすね。」



















「若鶏、俺こんなの覚えられないよ?」

















「いやいやいやいや!部長!やるんすか?やれって言われてるんすか?」



「いや、多分獅子舞を呼べってことだと思うんだけど、

 このシーズンどうなるかわからんでしょ?

 で、あと一ヶ月あるでしょ?

 最悪できるかどうか検証してたんだよ。

 獅子頭はアマゾンで12800円で買えそうなんで、

 あとは獅子の舞いだけなんだけど、これは無理。

 腰をやる。」


「ですよね。で、今獅子舞保存会にメールを送っているので、

 返事を待つ。で、いいですか?」

「オッケーオッケー」


それにしても、この最悪のことまで想定した段取りの良さ。

さすがである。





翌々日。

まだ返信が来ない。

「部長、今日も返事来てないです。

 電話番号も載ってません。」



「そうかー。やばいなー。やばいなー。

 どうしようかなー。やばいなー。

 やばいなー。どうしようかなー。

 俺、ホントに踊るのかなー?」



清田部長は最悪のことを想定したのか覚悟したのか

やばいとどうしようしか出てこなくなり

かなり、おテンパリのご様子。


そんな様子を見かねた、上司の上司にあたる、城田執行役員が、


「保存会の近くにある神輿保存会の人を知ってるから

 そこ経由で連絡先聞いてもらったら?」


とアドバイス。


「いや~、さすがですね、城田執行役員。

 ありがとうございます。ありがとうございます。」


テンパリながらも感謝を忘れない、清田部長。

さすがである。


そして聞いたらすぐに電話を掛ける。

さすがである。



「もしもし~、すみません、私



 ○○○○株式会社の清田と申します~。



 神輿保存会のヨコタ様の携帯でお間違いなかったでしょうか。



 はい~、いつも大変お世話になっております~。



 今お時間よろしいですか?すみません。


 
 あの~ヨコタさま、ちょっと教えて欲しいんですけど。














 獅子舞って、ご存知ですか?

 








 「お前、どんな聞き方してんだ!獅子舞くらい知ってるだろ、バカ!」
 
 城田執行役員の怒号がこだまする。


 このやりとりに事務所全員が笑いすぎで呼吸困難になる。

 さすがである。  




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