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日記だったり、ネタだったり、備忘録だったり。 若鶏のからあげ先生が日常をユーモラスに描きます。
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その頃、夏場に落ち込む売上は

屋上でビアガーデンを催してカバーするのが決まりだった。



若鶏のからあげ、入社2ヶ月。

上司は城田課長。



今は執行役員の城田課長も

この頃は上からいろいろと言われていた。



今年は売上が例年より悪いので

ビアガーデンでもカバーしきれない。

そこで、城田課長、何か手を打ちなさい、と。



城田課長が毎晩遅くまで残って企画を考える。

僕は一緒に残って城田課長が考えた企画を

せっせとエクセルにまとめていく。

これが僕のコーヒーの準備以外の初めての仕事だ。



一緒に作業をする中で、一つだけわかった。



城田課長は

数字の話しや考え方、何が流行っているのか、

お客様が何を考えているのか、期待しているのか

などなど、たくさんのことを

何にもわからない入社2ヶ月の僕に実戦で叩き込もうとしている。



上司が期待してくれている。



それだけで十分嬉しい。

僕は一生懸命、尊敬する城田課長に食らいついていって

期待に応え、課長の企画を成功させなければならない。



城田課長が企画したのは、

ビアガーデンで1日だけダンスショーをするという企画だ。



ダンサーの人たちも販売に協力してくれて

チケットはすぐに完売。

あとはイベントを成功させるだけだ。



当日、ダンスショーが始まる。

僕の仕事はダンサーの動きに合わせて

スポットライトを当てる係だ。



城田課長はステージ袖と控室を行ったり来たりして

ダンサーにキュー出しをしている。



ビアガーデンのスタッフも一生懸命頑張って、

ダンスショーが何の問題もなく無事に終わった。



僕たちはダンサーの控室に食事を運び、

お客様からの反応や、感想を伝え

今日は無事に終わってよかった、よかったと言いながら、

お見送りした。



控室の片付けも終わり、

ビアガーデンの片付けはどうなったか見に行くと。

まだ1組お客様が残っており、片付けがまったく進んでいなかった。



城田課長が、遠目で見ながら

「あのお客様達、誰?」

と小声でスタッフに聞くと、






「社長です。」






と返ってきた。

よく見てみる。

一人の影に隠れて顔は見えなかったが、

あの頭皮は社長で間違いなかった。



「もう、あのやろう・・・、若鶏、追い出してこい!」



「はい!」



「いや、冗談だよ。はぁ、かわりにスポットライト当てといてよ。」



課長はそう言い残して、別のスタッフのところへ。



僕はとりあえず、スポットライトの電源をON。

社長に向かってスポットライトを当て始める。

社長がこちらをちらちら見ながら眩しそうにしている。

心なしか、少し光が反射しているようにも見える。



すると遠くから見ていた城田課長がものすごい勢いで走ってきた。







「バカ!お前何やってんだ!殺されるぞ!」





「えっ?やれといわれたのでやりましたが。」





「冗談だよ!冗談!」




「えぇ~?」




この酷い初見殺しに引っかかった僕は、

今でも、あの時どうすれば正解だったのか、答えは出せていません。




この後すぐに僕は異動になった。




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