忍者ブログ
日記だったり、ネタだったり、備忘録だったり。 若鶏のからあげ先生が日常をユーモラスに描きます。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

若鶏のからあげ、入社5年目。

朝から大変な仕事に巻き込まれ
昼食の時間が4時ごろになった。

事務所にあるお昼の献立表を見ると、
「チキン南蛮」と書かれていた。

「お、今日は当たりの日だ!」

と思いながら社員食堂に向かう。

会社の社員食堂は4つのメニューから選ぶ。
お昼ランチ(魚)、食堂ランチ(肉系)、麺類、カレーと
それぞれ小鉢が1品。
そしてご飯と味噌汁のおかわりは自由だ。
世の中の社員食堂の中では充実しているんじゃないかと思う。


食堂のドアを開けると、
施設管理のおじさんと社員食堂のおばちゃん村松さん(65)が
激しく言い争いをしていた。

「注文したやつと違う!」
「鯖が切れたので鮭にしたんですよ。」
「鯖だから来たのに、あ~、もう駅に行けばよかった。」
「そんな、言われても・・・。」
「もういい!もうこないから!」

そういうとおじさんはドアをバターンと勢いよく閉めて出て行った。

僕は思わず

「・・そんな強く言わなくてもいいのにね。」

とつぶやいた。



すると、村松さんの目から大粒の涙が。











「若鶏さん!わたし、誤解されちゃった!」








というと、顔を覆い、肩を震わせ、泣き始めた。


男の本能か何かで「抱きしめなくては」と体が反応。
反射的に両手を広げてしまった。

村松さんがゆっくりと僕に近づいてくる。




え・・・ちょっとまって、まって、まって

来るの?ホントに来ちゃうの?

まずいよ、これは、人が入ってくるともっとまずい。

だれか、だれか助けて、だれか早く村松さんを止めてあげて。




村松さんの頭が僕の胸にコツンと当たる。


我に返る村松さん。


「さ、私、仕事しなくっちゃ。」

とそそくさと調理場に戻り、
僕のチキン南蛮を作り始めた。


助かった。
抱きしめなくて済んだ。


そう思いながら出来立てのチキン南蛮を食べていると、
食堂に後輩たちが入ってきた。
夜の仕事に備え、早めの夕食を取る連中だ。


注文でカウンターがごった返す。

皆が食事を食べ始めた頃、

食事を食べ終えた僕は、食器返却口に向かった。



いそいそと村松さんが調理場から出てくる。


















「若鶏さん、今日は、抱いてくれてありがとう。」

















後輩の一人が味噌汁を勢い良く吹いた。


拍手[3回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
若鶏のからあげ
性別:
男性
趣味:
料理
自己紹介:
時は来た!それだけだ!

HNの由来:
好きな食べ物から

ブログ名の由来:
僕の国という意味です。

Template by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]